テーマは、元のビュー・レンダリングのコードに触れる必要なしに、ビュー のセットを別のセットに置き換えるための方法です。 テーマを使うとアプリケーションのルック・アンド・フィールを体系的に変更することが出来ます。
テーマを使うためには、view
アプリケーション・コンポーネントの [[yii\base\View::theme|theme]] プロパティを構成しなければなりません。
このプロパティが、ビュー・ファイルが置換される方法を管理する [[yii\base\Theme]] オブジェクトを構成します。
指定しなければならない [[yii\base\Theme]] のプロパティは主として以下のものです。
- [[yii\base\Theme::basePath]]: テーマのリソース (CSS、JS、画像など) を含むベース・ディレクトリを指定します。
- [[yii\base\Theme::baseUrl]]: テーマのリソースのベース URL を指定します。
- [[yii\base\Theme::pathMap]]: ビュー・ファイルの置換の規則を指定します。 詳細は後述する項で説明します。
例えば、SiteController
で $this->render('about')
を呼び出すと、ビュー・ファイル @app/views/site/about.php
をレンダリングすることになります。
しかし、下記のようにアプリケーション構成情報でテーマを有効にすると、代りに、ビュー・ファイル @app/themes/basic/site/about.php
がレンダリングされます。
return [
'components' => [
'view' => [
'theme' => [
'basePath' => '@app/themes/basic',
'baseUrl' => '@web/themes/basic',
'pathMap' => [
'@app/views' => '@app/themes/basic',
],
],
],
],
];
Info: テーマではパス・エイリアスがサポートされています。 ビューの置換を行う際に、パス・エイリアスは実際のファイル・パスまたは URL に変換されます。
[[yii\base\View::theme]] プロパティを通じて [[yii\base\Theme]] オブジェクトにアクセスすることが出来ます。
例えば、ビュー・ファイルの中では $this
がビュー・オブジェクトを指すので、次のようなコードを書くことが出来ます。
$theme = $this->theme;
// $theme->baseUrl . '/img/logo.gif' を返す
$url = $theme->getUrl('img/logo.gif');
// $theme->basePath . '/img/logo.gif' を返す
$file = $theme->getPath('img/logo.gif');
[[yii\base\Theme::pathMap]] プロパティが、ビュー・ファイルがどのように置換されるべきかを制御します。
このプロパティは「キー・値」ペアの配列を取ります。
キーは置き換えられる元のビューのパスであり、値は対応するテーマのビューのパスです。
置換は部分一致に基づいて行われます。
あるビューのパスが [[yii\base\Theme::pathMap|pathMap]] 配列のキーのどれかで始っていると、その一致している部分が対応する配列の値によって置き換えられます。
上記の構成例を使う場合、@app/views/site/about.php
は @app/views
というキーに部分一致するため、@app/themes/basic/site/about.php
に置き換えられることになります。
モジュールにテーマを適用するためには、[[yii\base\Theme::pathMap]] を次のように構成します。
'pathMap' => [
'@app/views' => '@app/themes/basic',
'@app/modules' => '@app/themes/basic/modules', // <-- !!!
],
これによって、@app/modules/blog/views/comment/index.php
に @app/themes/basic/modules/blog/views/comment/index.php
というテーマを適用することが出来ます。
ウィジェットにテーマを適用するためには、[[yii\base\Theme::pathMap]] を次のように構成します。
'pathMap' => [
'@app/views' => '@app/themes/basic',
'@app/widgets' => '@app/themes/basic/widgets', // <-- !!!
],
これによって、@app/widgets/currency/views/index.php
に @app/themes/basic/widgets/currency/views/index.php
というテーマを適用することが出来ます。
場合によっては、基本的なルック・アンド・フィールを含むアプリケーションの基本テーマを定義しておいて、現在の祝日に基づいてルック・アンド・フィールを少し変更したい、ということがあるかもしれません。 テーマの継承を使ってこの目的を達することが出来ます。 テーマの継承は、一つのビュー・パスを複数のターゲットに割り付けることによって設定することが出来ます。 例えば、
'pathMap' => [
'@app/views' => [
'@app/themes/christmas',
'@app/themes/basic',
],
]
この場合、ビュー @app/views/site/index.php
には、どちらのテーマ・ファイルが存在するかに従って、@app/themes/christmas/site/index.php
か @app/themes/basic/site/index.php
か、どちらかのテーマが適用されます。
テーマ・ファイルが両方とも存在する場合は、最初のものが優先されます。
実際の場面では、ほとんどのテーマ・ビュー・ファイルを @app/themes/basic
に保管し、その中のいくつかを @app/themes/christmas
でカスタマイズすることになるでしょう。