この文章は僕がどんな事を考え、何を大事にして、どんなふうに働いているのかを伝えるためのものです。 別に「これが俺だから従え!」という意図ではなく、お互いを理解して良い関係を築き、気持ちよく仕事するために書いています。 なので、あなたに何かを強制したりするものでは無いというのを強調しておきます。
僕と関わる人は基本的に幸せであってほしいと思っています。 ただし人生では色々なことが起きるのは承知しており、残念ながら僕があなたの人生すべてを背負うことはできません。少なくとも仕事においては幸せな状況を作り続けるのが僕の役割だと思っています。
そして、厄介なことに人間は他人の考えていることを完全に理解することができません。 あなたにとって何が幸せで、何が楽しいのか、逆にどんな環境は不幸なのか、対話を重ねていくことで、少しずつ認識のすり合わせができると嬉しいです。
僕は、マネージャとメンバは「上下関係」ではなく「フラット」な役割だと思っています。
部活動における選手とマネージャの関係性と同じです。次の試合に向けて真剣に取り組む選手と同様に、チーム全体の今と未来に真剣に向き合うのがマネージャだと思っています。
階層構造は意思決定を遅らせます。「許可を得ること」や「自分を守ること」に力を注がずに、いつでも気軽に相談してください。「いつでも気軽に相談できない」ような状態であればそれは僕の課題なので、その旨を伝えてくれると嬉しいです。
このように、僕は自分と自分のチームがそれぞれにプロフェッショナル意識を持ち、尊敬しあえる関係でありつづけることで、みんなが幸せに仕事が出来ることを望んでいます。
- あなたが幸せであり続けるために、目指したい方向を一緒に考え続けていきます。仕事を通じて個人が成長できるのは素晴らしいことです。会社が向かいたい方向と個人が向かいたい方向のベクトルを合わせられるようにしていきます。
- 中長期的な目線で僕達のチームの存在意義について考え、伝えます。
- あなたが目指すキャリアを実現させるために、成長と学習の機会を作るようにします。
- あなたが目指していく方向になにか障害物があれば、それを取り除くための努力をします。
上から重要な順番で心がけたいことを書いています。できるだけコードを書きたい思いはありますが、あなたが幸せに仕事をできていない状態では僕のチームは成功しないのでコードを書く事はしません。
- 不確実性に向き合うことを大切にします。本当に価値があるものでリスクが無い業務・事業は先人によってやり尽くされています。扱う仕事がリスクを抱えていることは、それに価値があることの証左なので、不安から逃げずに向き合いたいと思います。
- 情報の透明性を大切にします。人の評価と給与以外の事は基本的に隠しません。僕の知っている情報は話しますし、手を伸ばせばそこにある状態を作っていきたいと考えているので、気になったら取りに来てください。そして、興味があればコミットしてください。
- HRT(ハート)1を大切にします。
- 自分が世界の中心ではなく、全知全能でもなく、絶対に正しいわけでもない 謙虚さ(Humility)
- 一緒に働く人を心から思いやり、1 人の人間として扱い、能力や功績を高く評価する 尊敬(Respect)
- あなたは有能であり、正しいことをすると信じ、仕事を任せる 信頼(Trust)
- 自主性を大切にします。エンジニアは知的労働職です。本当の自主性とは「マネージャとは違ったやり方で仕事を進められること」、本当の自由とは「間違ったことをしても良い権利」だと考え、自主性を尊重します。自主性が高すぎて動きを決められず居心地が悪いと感じることがあればいつでも助言を求めてください。
僕は完璧とはほど遠い人間なので上記すべてを出来ているわけではないです。が、そうありたいと思っています。
仕事のほとんどは上手くいかない或いは進展のない日々です。嬉しい気持ちになるよりも辛い気持ちになることの方が圧倒的に多いと思います。どんなに苦しい状況でも逃げること無く気持ちの折れること無く、ビジョンに向かって自ら進む姿勢を求めます。言行(ジョイン当時に語ってくれたビジョンと、ジョイン後の日々の行動)を一致させられることを求めます。
一度でうまくいくことを期待しないでおきましょう。成功のためには多くの失敗と改善が必要です。裏返せば、失敗しようとしないのは成功する気がないのと一緒です。僕たちのリスクはイノベーションの欠如であって失敗ではありません。どんどん失敗しましょう。
失敗した後に僕が聞きたいのは 1 つです。 「あなたはそこから何を学んだか?」 1 つのミスから多くを学んで経験値を積んで次のレベルに行きましょう。失敗こそが成功へのプロセスです。
僕はウィンストン・チャーチルのこの発言が好きです。
Success is the ability to go from failure to failure without losing your enthusiasm.
議論において他の人と違う意見を持っているとき或いはチームの誰かに有益な情報を共有できるときなど、言うべき意見があるのに上司や先輩などの顔色や自分の年次などを気にして口にしないことは避けてほしいと思います。僕たちが手掛けるサービス領域において正解を知っている人は上司を含めて誰もいません。ベストな判断をし続けるために或いは誤った判断をしないために、あらゆる視点の意見を常に求めています。誰かの意見と異なっていようと自分の意見を忌憚なく表明してほしいです。そしてそれはあなたの責任・義務でもあると認識してほしいです。
週に一回、30 分の 1on1 を行います。必要であれば定期的なタイミングを待たないですぐに話をしましょう。
月報は上司のための時間ですが、1on1 は あなたのための時間です。 タスクの進捗確認には使いません。 あなたが話したいこと、僕に質問したいこと、相談したいことを話す時間です。 今やっている業務、チームやチームメイトの気分、自身のキャリア、少し先の未来など仕事の話から趣味の話までします。
この一番の目的は雑談が出来るような関係になる事です。 悩みや不満、不安が決定的になる前にキャッチアップしたいからです。 例えば、「最近の業務が自分のキャリアパスと合わないので転職します」 と結果をいきなり持ってこられるより 「最近キャリアに悩んでいますー」 という段階から聞きたいからです。
また、「マネージメントやりたくないと思ってたけどちょっと興味出てきた」など言ってくれた次の 1on1 で「やはりよく考えたらマネージメントやりたくない」となる事もあると思っています。
そういったものも含めて気軽に話せるように雑談が出来るようになりたいです。
仕事のパフォーマンス、チームとしての働き方・マインドに対してフィードバックします。良いことだったら称賛しますし、ネガティブな内容かもしれません。 あなたの幸せにつながることであればどんなことでも忌憚なく伝えます。
また、僕は僕の部下になった事がありません。なので僕の上司としてのパフォーマンスについても是非フィードバックしてください。僕も適切にフィードバックループを回して成長したいです。 駄目なところ、直してもらいたい所は勿論なのですが、出来れば良い部分も教えてください。良い部分を教えてもらえると純粋に嬉しいですし、何か改善する時にそこは残しておこうと思えるからです。
ワークライフバランスという言葉は理解していますし想像も出来ますが、僕自身は取り入れていません。 僕は仕事を"遊び"に近い感覚で楽しんで好きでやっています。仕事をしているときとそれ以外で違う自分だと思った事がありません。週末に家事をしているときに仕事の事を考える時もありますし、仕事中に気がついたら家族のことを考えていたりします。
ですが、はっきり伝えておくべき事はあります。 僕は、家族・健康・信念・宗教などあなたが大事にしているものを仕事のために犠牲にすべきではないと強く思っています。
もしもそれらが脅かされると感じたらすぐに伝えてください。
組織構造上、どうしても情報の非対称性が生まれてしまうのは事実です。 「何事もオープン」にしたいのはやまやまですが、現実的には時間的都合などで難しい場合もあります。気になったことや分からないことはいつでも聞いてください。変に推測をして結論をつけてレッテルを貼らないでください。 僕は情報を伝える努力をしますが、正しい情報を得る努力をしてほしいとも思います。
僕という人物をより知ってほしいためストレングスファインダーの結果を載せておきます。2
項目 | 説明 |
---|---|
学習欲 | 「学習欲」の資質が高い人は、学習意欲が旺盛で、常に向上を望んでいます。結果よりも学習すること自体に意義を見出します。 |
分析思考 | 「分析思考」の資質が高い人は、物事の理由と原因を追求します。状況に影響を与える可能性のあるすべての要素を考慮に入れる能力を備えています。 |
達成欲 | 「達成欲」の資質が高い人は、並外れたスタミナがあり、旺盛に仕事に取り組みます。自分が多忙で生産的であることに、大きな満足感を得ます。 |
慎重さ | 「慎重さ」の資質が高い人は、決定や選択を行うときに細心の注意を払います。あらゆる道のりには、危険や困難が待ち受けていると考えています。 |
自我 | 「自我」の資質が高い人は、他人の目から見て非常に重要な人間になることを望んでいます。独立心に富み、人から認められたいと思っています。 |
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この文章は最終稿でも決定稿でもないです。気持ちが変わったり、更新されたり、追加されたりします。 最後まで読んでくれてありがとうございます。